奈良県境を越える路線バス

80系統

奈良県はみなさんご存知の通り海に面していない県で、大阪・和歌山・京都・三重の4府県と面しています。

路線バスというのは地域輸送が主な役割なので、高速バスなどを除く一般の路線バスでは県境を越えることはあまりありません。また最近の過疎路線の縮小により廃止されたものもあります。ここでは筆者が知っている限りの県境越えの路線バスを紹介します。(高速バス、リムジンバス、深夜急行バスを除く。事業者の特記なきものは奈良交通。)

■参考:昭文社エアリアマップ:奈良県ほか近県の地図。奈良県については 2000年1月発行のものをもとにしています。

また、奈良交通掲示板でのディスカッション全般と、和歌山県との県境を越える路線について たま さん作の OCEAN STAION 内にある「和歌山バスパーフェクト」の記事、「地方路線バス廃止情報」の情報、各事業者の公式Webページなどを参考にさせていただきました。ありがとうございます。

隣接府県事業者・系統番号 路線名(仮称)奈良側境界 他府県側境界営業所 利用備考
京都府94・95 奈良笠置線広岡 笠置奈良(郡山) 年月不明1999年8月31日で広岡−笠置間廃止
京都府系統番号なし 柳生笠置線柳生小学校前 笠置登山口奈良(郡山)  2002年3月19日で路線廃止
京都府三重交通 55 (南山城線)ロマントピア月ヶ瀬 月ヶ瀬カントリー前(上野) 03/02/15季節便(尾山口−月ヶ瀬口駅前)
三重県三重交通 52,53 (月瀬線)石打保育所前 白樫(上野) 03/02/15上野産業会館−桃香野口系統
三重県三重交通 季節便,54 ---尾山診療所前
石打
桔梗が丘駅
治田公民館
(名張)
(上野)
03/02/15上段は季節便で途中ノンストップ。
下段は平日1便のみ運行(桃香野口−治田公民館)→年月不明ながら廃止になった模様。
三重県三重交通 57 上野山添線五月橋 治田西口(上野)  上野−菅生、上野−治田−天理
三重県奈良交通 11
三重交通 60
天理上野線
上野天理線
国道五月橋 国道治田奈良(天理)
上野
年月不明奈良交通は2006/9/30限り廃止。三重交通は全便治田公民館経由となりこの区間は運行されていない
三重県三重交通  宮の上 葛尾(名張)  名張−毛原神社前 2011/3/31限りで廃止
三重県奈良交通 山添水間線奥出口 葛尾   中峯山−葛尾。2010/3/31限りで廃止
三重県三重交通 安部田線下竜口 猪尻橋---  名張−若宮橋 2008/3/31をもって廃止との情報
三重県 廃止長瀬 阿清水橋榛原  室生口大野−赤目方面
三重県三重交通 ---紅葉谷 落合---  名張−曽爾方面
三重県三重交通 ---長走りの滝 赤目出合茶屋(名張)  赤目口−曽爾 季節便
三重県三重交通 ---敷津 上太郎生---  名張−伊勢奥津駅前
三重県三重交通 ---杉平 払戸--- 年月不明名張−伊勢奥津駅前
京都府奈良交通・木津川市コミュニティ 多数高の原駅 兜台1丁目平城 2000年夏 
京都府25 奈良木津線一条高校前 川原田平城 年月不明毎週土曜日1本片道(木津→近鉄奈良)のみ。
京都府47・156 奈良高麗線梅谷口 一坂南口郡山 年月不明かつては、京阪バスや近鉄バスも乗り入れていたがすでに廃止されている。奈良交通路線も京都府区間は木津川市コミュニティバスへ移管され、県境を通過する路線はなくなった。
京都府108・109・111・150・152・156・157 多数梅谷口 木津南ソレイユ郡山・平城 年月不明確か同じルートで国鉄・JRバスが乗り入れていた(近城線)が、すでに廃止されている。
京都府95・105・106  岩船寺口 綾吾谷(あやごだに)郡山 年月不明綾吾谷バス停のみ京都府
京都府95・105・106  南乃庄 綾吾谷郡山 年月不明綾吾谷バス停のみ京都府
京都府79・82・85 山田川高山線鹿の台東1丁目 柘榴平城 年月不明学研奈良登美ヶ丘−乾谷−高の原駅
京都府  多数鹿の台東1丁目 柘榴西平城 2006/03/27学研奈良登美ヶ丘−光台−祝園駅ほか
京都府40・45・46 学園前光台線神功西 光台1丁目南平城 2002/03/23光台路線は学研登美ヶ丘駅発着に系統が整理され、この県境を越える路線は休止に
大阪府京阪バス ---北田原 羽衣橋(門真) 2003/1/14交野市−田原台系統。奈良交通67系統(東生駒駅−京阪私市)は2002年1月末で廃止
大阪府79,85,86,96,97 田原台線池谷 北谷公園・田原台8丁目北大和 2003/1/14 
大阪府京阪バス ---山口川 森山(門真) 2003/1/14交野市−田原台系統
大阪府近鉄バス 廃止田原 下田原--- 年月不明四条畷−山口川・高山。現在は飯盛霊園までに短縮
大阪府京阪バス 廃止野田 北田原口---  大和田→交野
大阪府近鉄バス 廃止阪奈生駒 生駒登山口--- 年月不明梅田−近鉄奈良駅。末期は1往復/日で休日運休だった。
大阪府近鉄バス 生駒山上線生駒高原 生駒登山口--- 年月不明かつては定期便。現在は季節運転。(2006年から運休中)
大阪府近鉄バス 生駒聖天線生駒聖天口 信貴山上--- 年月不明断続的に県境を通過。季節運転。(2006年から運休中)
大阪府(30) 1996年廃止田尻 長池住宅前葛城? 年月不明近鉄高田駅−国分駅。末期は1往復/日。
大阪府近鉄バス 廃止亀ノ瀬 堅上口国分王寺線 年月不明王寺駅−国分駅前。廃止直前まで2時間に1本程度は運転されていた。
大阪府近鉄バス 信貴山上線高安山 信貴山門--- 年月不明 
三重県なし 熊野線小口橋 土場南紀  新宮駅−河合・池原。2006/9/30限りで廃止。奈良交通廃止後の下北山村バスはルート変更(不動トンネル経由)によりこの県境は通過しなくなった。
和歌山県なし 下北山村営田戸 七色   池原−七色
和歌山県十津川村営 ---田戸橋 玉置川口---  十津川−玉置川
和歌山県十津川村営 ---北又 玉置川口---  十津川−玉置川
和歌山県熊野交通 ---番田口 蟻越峠---  神丸−志古−瀞八丁
和歌山県熊野交通 ---竹筒口 百夜月---  神丸−志古−瀞八丁
和歌山県  十津川新宮線七色 土河屋南紀  八木−新宮 JRバスは廃止。熊野交通は土河屋以南のみ運行
和歌山県南海りんかんバス 高野龍神線野迫川村総合案内所前 護摩壇山---  断続的に県境を通過。冬季は運休
和歌山県南海りんかんバス ---天狗木峠 奥の院前--- 2001/08/26断続的に県境を通過。季節便「すずかけライン」現在は運行されていない。
和歌山県南海りんかんバス 立里線野迫川村役場前 奥の院前(高野)  高野山−立里荒神前 断続的に県境を通過。冬季は1往復
和歌山県 廃止今井辻 中筒香葛城  五條−野川上村
和歌山県36  県境 富貴口葛城  五條−東富貴 2011/3/31限りで廃止
和歌山県 1996年廃止火打橋 恋野葛城  五條−恋野 脚注(1) 参照
和歌山県45 2002/1/15廃止木の原口 平野葛城  五條−隅田平野 2002/1/15休止 脚注(2) 参照
和歌山県52,53 廃止下中之 上山内葛城  五條・智辯学園−上山内 脚注(3)参照
和歌山県南海りんかんバス  山の原 真土葛城 年月不明奈良交通便は2002/1/15休止。南海りんかんバスも真土以東は廃止。



(注1)かつては南海りんかんバスも恋野経由で五條BSまで乗り入れていたが恋野で分離され、恋野から東は奈良交通、西は南海りんかんバスが運行していた。熊野交通が橋本−新宮間路線(十津川経由)を運行していた際、橋本−五條間は恋野経由だった(途中停留所には停車しなかった)。

(注2)隅田平野(りんかんバスでは「平野」)から西には南海りんかんバスが橋本への路線を出している。恋野同様に県境で運行会社を分割していたらしい。この方法は季節運転のすずかけライン(高野山駅−天狗木峠−洞川温泉)でも現存している。

(注3)和歌山バスパーフェクトの記事によれば、南海りんかんバスが上山内−林間田園都市駅間をノンストップ輸送したとのこと。奈良県側のルートや停車停留所は不明である(表中の「中之」のところにクエスチョンマークを入れているのはそのため)が、1993年発行の昭文社奈良県都市地図には中之停留所のある交差点から東方へのびる道(広域農道?)にバス路線が書きこまれていて、一応県境を越えた先は上山内近くになる。ところが1992年発行の昭文社和歌山県都市地図にはこの路線は存在せず、正体不明である。

五條市部分の地図

橋本市部分の地図

単に上山内から五條に向かうのであれば、隅田平野経由で県境を越える方が近いし、実際定期バス路線も存在する。しかしそれだと奈良県側の隅田平野−五條間は既設路線と同一になるし、奈良交通が自社で運行していない上山内−山内−隅田平野間をわざわざりんかんバスから受けて走らせることになる。

筆者の推測では、和歌山県側は、林間田園都市駅から城山台、初芝橋本高校北側を通り東覚寺下の交差点で右折、一旦上山内の回転場に至りここで奈良交通便に接続、さきほどの道の続きを走り、中之交差点を右折、五條市内方面へ向かったのではないかと思われる。ただ、以前として奈良県側の中之より先は各停留所に停車したかどうかが不明である(通学時間帯に運行されることからR24号の渋滞回避が狙いでこのようなルートになったと思われる。隅田平野などを経由して奈良県側の集客を目的としていないことから奈良県側もノンストップに近い状態ではなかったかと想像できるが…)。詳しいことをご存知の方がいらっしゃればぜひご教示ください。


【2003年9月追記】

お二人の方からそれぞれ情報をお寄せ頂きました。ありがとうございます。

(1) りんかんバスは r731 - 山内 - 上山内 の経路で運行、奈良交通は途中停留所でも乗降を扱うことになっていた(ただし五条駅・五条バスセンターは経由しない)ようですが、実質ノンストップで、現在は自家用バスによる送迎に切り換えられて現存しないとのことです。また、和歌山バスは上記予想ルートがメインのようだが、別経路により運行されることもあったとの情報です。

(2) 和歌山バスとの連絡運輸(県境で路線を分割)については、やはり歴史的経緯から近畿運輸局(当時)の調停があったとのこと。和歌山側の林間田園都市−上山内間は奈良交通連絡の通学バスのほかにも一般路線バスが存在した。

また、(2) の情報を頂いた方からはその他にも追加修正情報をいただきました。感謝いたします。


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