素掘りトンネルの残る主要道 奈良r48 洞川下市線

取材:2005年6月25日

国道309号線を東に沿って通る県道48号線は一般県道からの格上げだが、別に記したように元は黒滝村寺戸以北が県道だった。この黒滝村から南が難物である。レポートは逆方向(下市→洞川)方向でお送りする。



下市町下市 大淀町方向から R309 を走り、下市町下市の市街地の途中で R309 は右にそれていく。直進が r48 である。見ればわかるが、これから向かう黒滝も洞川も右折して国道を進むように看板が出ている。一般のドライバー向けの賢明な処置である。

下市町善城 そのまま進むと R309 にぶつかる。が、ちょっと待った。逆方向に立つ青看が問題である。

下市町善城2 横にさりげなく分かれている道「も」r48 らしい。あまりに疑わしいので SuperMapple と ProAtras の両方を確認したが、確かに県道のようだ。

(逆方向を見て撮影)

下市町善城3 しばらくするとまた R309(バスが走っている道路)にぶつかるが、これは実は県道ではない。すぐ手前でまた左に逃げるのが県道らしい。

下市町岩森 岩森で国道から分岐するr48を示した青看。r48 方向はやる気がないのでいい加減だが、実は分岐後すぐに十字路がある。さっき左手に逃げて行った道が左から合流し、正面方向に進むのが本来の県道である。ついでだが、十字路を右折すると下市温泉秋津館がある。

下市町よ邑 分岐して本当に単独路線になった直後はこんな感じの里山を行く。地名のよ邑の「よ」は「予」に似ているが特殊な漢字で、地図ではカナで表示されている。

下市町立石 このような改修区間がところどころ現れるのも険道名物。立派なバス停のけりこみがあるが、ここを通過するバスは筆者が学生のころから1日1本だけであり、其の筋の人たちを泣かせる難物路線である。

下市町才谷 左から r257才谷吉野山線が駆け降りてくるが、このあたりは狭くて離合困難。r257から岩森方向へは普通車でも切り返しがいるかもしれない。

下市町才谷2 この先は杉木立の中を進む。これぞ奈良険道である。まだ道幅は1.5車線程度ある。

黒滝村鳥住 このトンネルはコンクリート巻き立てのちゃんとしたものだが、町村境ではなく黒滝村内にある。バスは今でも旧道を越えているらしい。左に分かれる道がその旧道。

黒滝村鳥住2 これがその地蔵トンネルの南坑口。軽自動車の後ろから旧道が合流している。アプローチの R169 芦原トンネルは何ともなかったが、こっちはトンネルに入ったとたん肌寒かった。

黒滝村寺戸 軽いジャブのような地蔵峠を越えると寺戸地区。この写真の左手には黒滝村役場がある。ここで r138 が五條方面へ分岐する。直進路はしばらく r138 と重複する。

黒滝村中戸 r138 との重複は僅か400mほどで、r48 はここを右折する。さっきからしつこいぐらいに「天川へ行くなら国道へ回ってね」という看板が立っているが、これは冗談ではない。

黒滝村中戸2 これを見て身が引き締まる思いがした。ここからが本番である。賢明なる読者の方はお分かりだと思うが、この高さ制限はトンネルによるものである。

黒滝村中戸 まだ上り始めたばかりなのにもうこの路面…。先が思いやられる。

黒滝村中戸 ヘアピンを左へまがると沢から離れて一気に高度を稼ぎ始める。どこかの行き止まり険道でこんな風景を見たが、ここは正真正銘通り抜けられる生きた主要地方道のはずである。

黒滝村中戸 日ざしが強くて分かりにくいが、路面はひどい。簡易舗装の上に砂がほとんどずっと乗った状態。この場所はたまたまカーブミラーがあるが、ミラーのないブラインドコーナーの方が多いのもやっかい。

黒滝村中戸 昨年の大雨で崩落したらしい法面を補修工事しているようだ。確か一時期この区間は通行止になっていたはずだ。

黒滝村中戸 この写真では見づらいと思うが、向かいの山のかなり上の方に道路と思われる切り取りが見られる。吉野大峰林道だろうか。あとで黒滝道の駅で見たらこの日は通行止になっていた。

黒滝村中戸 さっきの写真の場所でやっと尾根筋に出たかと思ったらまた樹林の中に入りこんでがっかり。道もすっかり1.0車線で杉の葉砂と小石でひどいことになっている。

(逆方向を見て撮影)

黒滝村中戸 突然トンネルが現れる。寺戸側は開けた場所がないのでトンネルがどんな場所にあるか分かりにくい。ポータルすらない荒々しい姿だ。

天川村洞川 洞川側はポータルだけはコンクリートだが内部はむきだし。実は途中1ヵ所コンクリート巻きの部分があり、過去に落石の補修をしたようだ。ひょっとすると洞川側坑口も崩落の修理をしたのでこうなったのかもしれない。

天川村洞川 天川村側はうそみたいに路面も道幅もりっぱで、アッという間にr20に合流して終点になる。これは天川側からトンネルに入った人はそうとう後悔することだろう。



全般に使い道に困るような主要道である。下市町から黒滝村寺戸までの区間はまだときどき改修区間が現れるが、肝心の他の県道との連絡部である才谷集落付近は相当な狭路である。ただし勾配はそれほどでもない。

黒滝村中戸から天川村までの区間はかなりヘビーで、たとえ夏休みでR309が車で混雑していてもこんな道を抜け道にする価値はない。とくに黒滝村側の路面状況はかなりひどい。2輪車は特にスリップに要注意である。なお、素掘りトンネルのある小南峠の区間は標高も高く、冬季通行止になるので注意が必要。

そういえば、全線走行したがヘキサは1本たりとも見つけられなかった。恐るべき主要道である。

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