2010年9月 家島諸島紀行


この記事は地域SNS ひょこむのブログに掲載したものを再構成したものです。

大阪駅から新快速で姫路に到着。南口に出て、市バスから神姫バスに移管された姫路港行に乗車します。かつて小豆島に行った時にはバスに乗り遅れてタクシーで急ぐハメになったのですが、実は20分に1本の間隔で運転されていました。フェリー乗るのにそんなギリギリで行動してはいけません。

今日はバスで落ち着いてます。姫路リバーシティの横を抜けて、その小豆島へ向かう海上国道R436をちょびっと走り、姫路港入口に到着します。

姫路港入口

前はタクシーのメーターばかり気になったのであまり印象に残っていなかったせいか、なんだかはじめて来たような気がします。

フェリーターミナルの自動販売機で切符を買って、売店でドリンクを買って、すぐ裏手から高速船に乗り込むとほどなく出航となりました。

姫路港

隣にいた海上保安庁の巡視船に進路を譲りつつ方向転換して港外に出ます。天気は下り坂ということでしたが今の所快晴で海はおだやか。

約30分ほどで入り江が見えてきました。何も予備知識を持たずに来たのですがドックのクレーンが林立しています。

家島本島のドック

ほどなく高速船は家島の真浦港に到着。乗船していたお客さんのほとんどはここで降ります。

真浦港

すっかりがらがらになった高速船は入り江を横断し、対岸側の宮港が終点です。

宮港

こちらは小さい待合室がありますが、ほとんどは地元の方のようで、足早に駐輪場から走り去って行きます。
瀬戸内の島々に住む人にとって船はバスみたいなものといいますが、まさにそんな感じです。

ここまでお世話になったのはこの船です。

宮港

写真を撮っているうちに港で乗船券を受け取ったおばさまたちもあっという間に居なくなってしまいました。(笑)

さて、いよいよ島歩きを始めます。



湾に沿って歩き出します。さっき乗ってきたのは高速いえしまの船だったのですが、もう1社高福ライナーという会社も定期旅客船を就航させています。

宮港

こちらは船の出る時間ではなかったようで、浮き棧橋にスタッフさんが1人いるだけでした。

船着き場から奥はびっしりと漁船が停泊しています。どれも現役バリバリの船で、活気ある港であることは一目で分かります。

宮港

なお、Super Mapple によれば県道425号線の端点がこのあたりらしいのですが、特に目印はなし…。

宮→真浦

入り江の一番奥。ちょっとした斜面にもびっしり家が建っていて、ちょっと想像と違っていて驚きました。外海と反対方向の北向きに広がった入り江の奥なので天然の良港なんでしょう。

家島小学校、郵便局、旧家島町役場(姫路市の出先機関になってます)を通過。島民の足であるミニバイクと軽自動車が闊歩しています。

宮→真浦

ただ、ここから先は道が狭くなっていきます。向こうから小学校の工事のトラックが来たりするとミニバイクや歩行者でも離合困難です。

狭いところを抜けるとさっきの真浦港に出ました。旅客船乗り場の反対側岸壁では、清涼飲料水の荷下ろし中です。

真浦港

家島諸島への船は客貨が完全分離されていてフェリーは存在しません。島外者が車を持って来ても狭いので混乱するだけですからね。定期貨物船は別に存在するそうです。

ちなみに離島名物のレンタルミニバイクは家島にも存在します。
レンタサイクルもありますし、お店によっては軽トラも貸しますという張り紙がありましたが、あまりおすすめはしません。

真浦港周辺は商店のほか、露店で魚介を売る行商人の方も多く賑わっています。ちらっと新鮮そうな車海老が見えたのですが、クーラーボックスを持ってないので持って帰りたくてもムリでした。残念。

ちょっと北へ向かって歩いてみると、さっき船上から見たドック街が近づいて来ました。

真浦

道はかなり狭くなって本当に軽自動車でないと辛いです。入り江の向こう側に回りこんだところがバスの折り返し点。

バスと言ってもこの道の狭さではマイクロバスでも入れないので、5ナンバーミニバン車です。昔80条バスと言われた白ナンバー(自家用車)での有償輸送が特別に認められているケースです。

地元の方2人が乗っておられたので少々場所を譲って頂きました。真浦港に戻って南へ向かうのですが、ここが商店など密集した地域でミニバイク1台止まっているだけで前に進めない状態。絶妙の車両感覚でバイクをどけることなく通過。さすがです。その先のアパートの駐車場が回転場になっていて、ここから真浦方面へバスは引き返すのでここで下車(※2014年現在さらに南まで延長されました)。皮肉なことにここからは道幅が広くなりました。

コミバス

ここからは歩きになります。車だとたいしたことのない坂でも久々に歩くと結構きついもんですね。頂上付近には何か分かりませんが、花が咲いていまして向こう側の海が見えて来ました。一気に高度を下げて平坦になったところで大型トラックとすれ違い。あのトラックはどこに行くんだろう、というか、どこから来たんだろう?

海沿いに出たのですがここにもドックがあり、船の点検中でした。

網手港

こんな場所から船底も全部見れることって、一般人にとってはなかなかない経験。

網手港

ちょうど作業員さんが船尾の舵の部分を取り外して点検しておられました。人の姿と見比べるといかに船が大きいかがわかります。

さてさて。なんとなく港を探して海岸線を歩いていくのですが、防波堤が続くだけで、船がつけられそうな場所がありません。ふと沖合を見ると船が徐々にこちらの島に近づいている気が。

網手港

あ、やばい。行き過ぎたか。と思って慌てて戻ると軽トラックを積んだ貨物船でした。

網手港

え、その後ろを航行中なのは旅客船じゃないかい?

その船はさらに向こうに着きそうな雰囲気。結局相当後戻りしてやっと船着き場の入り口を発見! 汗だくになって追いかけてなんとか間に合いました。海岸沿いを行く道から分岐する場所があまりにさりげなくて全然気付きませんでしたが、船のドックを間近に見られたからいいか…。ともかく船に急ぎます。

網手港

郵便屋さんの赤いバイクと一緒に海を渡り坊勢島へ渡ります。

網手

灯台近くではものすごい数のかもめが迎えてくれました。


とりあえずお昼過ぎで、こっちはコミュニティバスもなく(※2014年現在坊勢島でもコミュニティバスが運行されるようになりました。)自分の足だけが頼りなので港近くの食堂でお昼ごはん。

一息着いたあとは坊勢島中心部方向へ。こちらの船だまりもびっしり漁船が停泊中で、やはり漁業が盛んな島です。

坊勢島

島の中心部へ向かってみようと思って、地元の人が出てきた脇道に入ると、これが路地くらいの幅しかない上に急坂。途中で交差するこれまた狭い道を地元のおばさんが原付で走り抜けていきます。すげー。

でさらに上に上る道があるのですが、途中から階段になり、さらに畑の横を抜けて道というのかただの踏み跡を進みます。どうみても畑に不法侵入しているようにしか見えません。

突然コンクリートの擁へきの上に出てしまい、困っているとその横にさらに踏み跡があり、なんとか島の反対側が見渡せる場所に到着。こちら側も漁船がびっしりでした。

坊勢島

ちなみに私が出て来た踏み跡というのがこれ。

坊勢島

すぐ横には坊勢小学校があるのですが、地図を見るとこの付近から県道坊勢島線がのびてます。
せっかくなので端点を見に行こうと思い小学校前を通過しますが、どうみてもそこから降りるには階段付きの道しかありません。あまり他所者がウロウロしていると不審者にしか見えないので(もうここまでで十分に怪しい人ですが)一番可能性の高い道を下ります。

坊勢島

家に帰って調べると地図によって県道端点が異なる上に縮尺が粗くて正確なことは分かりませんが、兵庫県に階段国道ならぬ階段県道が存在する可能性はあります。そりゃ家島事務所か姫路土木事務所(※後日別の工事の看板をみたら姫路港管理事務所が所管らしいです。)あたりに電話すれば分かるのかも知れませんが、1ヒマ人の戯れ言に他人を付きあわせるのは申し訳ないので、フィールドワークで分かる範囲でとどめるのを原則にしておりますので。

坊勢島

それでも階段がなくなった途端にものすごい狭い場所にも軽トラが止まっていてびっくりします。我が地元の奈良町も狭い所に車が止まっていますが、こっちは傾斜がある分恐ろしいです。

どこが県道かさっぱり分からなくなったままひたすら狭い路地を抜け、やっとこさ海のそばまで下りて来ました。この道は間違いなく県道です。

坊勢島

ほんと、さっき昼ごはんの補給をしておいてよかったです。ちなみに、帰りもこの狭い道を使わないと坊崎まで猛烈に遠回りさせられます。(後で気付きました)。そういう意味ではさすが県道、重要な道です。

坊勢島

ご覧のとおり、海沿い道からは標識なんて気の効いたものはないのでよほど注意してないと(というか最初から知らないと)気付かないで通り過ぎるでしょうね。

さて島の東側から西側へ向かいます。感心したのは家島本島もそうでしたが、あちこちに公衆トイレがあることです。

坊勢島

離島の中でも特に瀬戸内の島はどこも水に苦労しているはずですが、ここは水道設備がしっかりしている証拠なのかも知れません。

坊勢島

しばらくすると船の気配が。さっき家島の網手(あで)港でみかけた小型フェリーが軽トラックやフォークリフトの積みこみをしているところでした。手持ちの古い地図だと坊勢渡船は以前ここから出ていたらしく、今も貨物船はここ長井港から発着しているようです。

港からしばらく歩くと妙な標識が海に向かって妙な標識が立っていました。

坊勢島

海に向かって立っているってことは、道路を行く人には用はないってことか。

と、そばに何やら別の看板が。

NTT

なるほど、電話線が海底に引いてあるんですか。ちなみに帰りの船の中から男鹿島でも同じものを見つけました。けっこう目立つもんですね。

男鹿島

ところで、家島諸島の有人島は水道も海底送水管が敷設されていて、一部には海水の淡水化装置も設置されているそうです。雨の少ない瀬戸内でこれだけの人々が暮らす島なので必要な設備であります。

さてそろそろ港に戻ることにします。

家島の網手港へは毎時1本、姫路へもだいたい毎時1本ペースで船が出ているのですが、夜間航行は制限があるのか、漁村なので夜が早いからなのか、姫路へ戻る船の最終便が早めなので要注意です。

坊勢島

ところで坊勢島だけなのかどうなのか、島内では大型犬をあちこちでみかけました。向こうはこっちを見て「誰だこいつ?」と怪訝な様子ではありますが、どういう理屈かみんなおとなしく、吠えてくる犬はいないので安心でした。

帰りは坊勢「汽船」の高速船です。ちょうど港を出たところで坊勢「渡船」(家島からの便)とすれ違いましたが ちょうど下校時間帯なのか、男子高校生が小さな船の舳先に乗り込んでました。

坊勢渡船

怒られないところを見るといつものことなんでしょうか。あの年頃なら多少揺れても「あー、おもろ」くらいの感覚なんでしょう。

男鹿島に寄って姫路港へ向かうと、行きとは違って揺れること揺れること。そういえば午前中家島でおやじさんが「昼から(天気が)崩れそう」だと話しておられましたが波が高くなる予想はどんぴしゃでした。漁師さんだったのかも知れません。

明らかに船がジャンプしているんですが、キャビンの中は至って平穏でした。名残惜しいですが30分ほどで姫路港に戻って来ました。



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