末端はただの農道 奈良r187 福住上三橋線


2003年5月 調査走行

天理市福住地区は重要な交差点であるのか、「福住」の名を冠した県道が3本あり、加えてもちろん名阪国道R25、非名阪R25、榛原への抜け道に快走できる広域農道が集まっている。さて、もう一方の端点は大和郡山市。ところが、地図を見る限り上三橋交差点は通らず、井戸野町交差点で旧R24(r754)にぶつかっている。調べた訳ではないのだが、今は r51 に指定されている帯解駅前を通るルートが元々の r187 だったのかも知れない(あるいは重複指定されている?)。その傍証と思えるものが、天理市中之庄町の奈良東病院西側から R169 へ斜めに走る道路は r187 と指定されていることだ。

今回は、大和郡山市寄りの普通に走行できる区間は全部割愛させていただく。

r753 井戸野町または R169 窪之庄南から東へ進む。センターラインのない区間が多いが、1.5車線くらいはあり、それほど極端に狭くはない。ただ、日常的に名阪国道との抜け道になっているようで交通量は結構多い。

写真1 Y字路が現れる。名阪国道五ヶ谷インターは右なので、抜け道利用の車は右へ進むが、県道はヘキサの立っている左側。なお、このヘキサが見たところ r187 で最も東にある県道標識だった(つまり、この先ヘキサはなし)。

写真2 名阪国道「中畑橋」が高々と県道をまたいでいく。(写真は逆方向で撮影)

この付近の集落が「中畑」らしい。名阪国道をアプローチに利用する場合には、「中畑」を目指せばよい。

写真3 高架橋から400mほどで、T字路に出る。なにも標識はないが、県道は左のやや鋭角に曲がる道である。右に進んでも名阪国道にぶつかるが、後述することにする。

写真4 T字を過ぎるとヘアピンになり高度を稼いでいく。ヘアピンの先から下を見下ろした写真がこれ。県道は右下(大和郡山市方面)から左下へ通っていて、左下からの道がここまで続いている。さっきのT字路を右にまがると、またすぐ先でT字路になっている。このT字を右に行けば名阪国道五ヶ谷インター、左に行けば別ルートで名阪国道へ。

写真5 実は取材当日、手持ちの地図は「奈良県道路網図」だけで、この周辺の細かい道路状況が分からず、当然ながら県道標識などあるはずもないのでここが県道かどうか非常に不安だったのだが、カーブミラーには「奈良県」の文字があった。

写真6 名阪国道のガードをくぐると、何もない十字路(写真は逆方向から撮影)。手持ちの地図では、写真の奥から来て左手に進んで行く。右手の道路もこの先名阪国道に沿うようだが、抜けられなさそう。

写真7 山肌と名阪国道のわずかな隙間をぬって走る。ガードレールすらなくなってしまった。このわずかの空間に畑があり、地元の人が農作業に汗をかいておられた。そのための車両は通行しているようだ。

(写真は逆方向から撮影)

写真8 この先、車線は 0.8 車線幅。軽自動車でなければ四輪は通行不可能だろう。原付バイクでもこれだけの幅に見えてしまうところがすごい。

ただ、轍はあったのでまだ先に進める(あるいは最悪転回場くらいはある)ようだ。

(写真は逆方向から撮影)

写真9 ご覧の通り、廃道の雰囲気すらしてくる狭い道だ。名阪国道を行き交う車の音すらも聞こえなくなってきて心細くなってきた。車の通った跡がなければ引き返していただろう。

(写真は逆方向から撮影)

写真10 とつぜん周囲が開けて、名阪国道をオーバークロスする橋が現れた(この橋は県道ではない。念のため)。1.0車線幅しかないが自動車も通行可能だ。あとで地図を見たらこれがさっきの集落のT字路に繋がっているようだ。車はこちらからもあの狭い道へ出入りできることになる。

写真11 橋からほんのわずかの距離で、正面を行く道は草むらのまさに廃道状態になった。ただ、落石防御のための柵があることから、道路を作ろうとした意図があったようには思う。

写真12 橋から廃道方向をみたのが次の写真で、名阪国道の2つめの街灯の灯具あたりの場所の山肌にコンクリートの構造物らしきものが見える。その先が谷になっていて、名阪国道には薬師橋が掛っているが、谷筋近くまでは道があったのかも知れない。

写真13 廃道になった場所から後ろを振り返れば、ヘアピン状にさらに坂を登る道がある。まだどこかに続いているようだが、「奈良県道路網図」によれば県道端点はここらしい。



さて、反対側の端点を訪れるには福住に出ないといけない。行ける人は名阪国道を使えばインター1つ分だが、そうでなければ r192 が最も近い。ここから r192 に出るには五ヶ谷インターから一山越えて激坂が待っている。

福住から r186 に入り、1km ほど進むと左コーナーで川を渡り、右に大きく曲がる所に r187 の分岐がある。標識類はない。

写真14 歩行者向けらしい表示がでていた。「車は行き止まり」ということは、人なら通行できるのだろうか?

なお、当日この付近で道路工事が行われており、交差点全体の写真が撮れなかったのであしからず。

写真15 見ての通り、いきなり完全1.0車線になる。土木事務所の看板がなければ私道としか思えない。

写真16 道の真ん中に堂々と草が茂っている。二輪車でもラインがブレて乗り上げてしまうと危険だ。何を隠そう、帰り道に私もあわや田んぼへ転落という目に遭った。対向車がいなくても調子に乗らないように。

写真17 看板では 600m ということだったが、原チャリのメーターでも、地図でそれらしい所を見ても約 800m ほどで舗装が途切れた。このすぐ手前までは田んぼがあるので、地元の方が車で乗り入れるようだ。舗装の切れた隅には肥料の袋らしきものが放置されている。これではこの先歩行者でも通行不可能だろう。よほどの薮漕ぎの対策・装備をしなければなるまい。もっとも、そんな重装備で農道…いや、険道を歩いていれば間違いなく「不審者」だと思われるだろう。

写真18 全景はこの通り。左手が明るいので稜線が近いのかと思っていたら予想通りだった。



さて、この分断険道。なぜか Supper Mapple Digital では繋がっているように書かれている。

地図1

地図をよく見れば、端点付近が「峠」になっているのが分かる。ここから名阪国道が通っているところまでは崖であろう。地図上の県道は稜線を行き、七回峠と書かれたところから延びる歩道と合流して沢を下っているようだ。そして途中から谷を離れて、例のヘアピンの続きに出てきている。

確かにヘアピンの続きは車も通れそうな舗装路だったが、福住側の端点がこうなっている以上、どこかで通行不能になっていることは間違いないと思われる。七回峠を通る歩道も怪しいものだ(末尾注)。

(御教示いただいた情報だが、地元の人に聞いても、どちらもやはり歩けるような状態ではないそうだ。)

さて、この分断状態だが、「奈良県道路網図」には、さきほどの中畑地区で名阪国道ガードを通り越した時の十字路を直進し、そのまま r186 の険道区間(せめて BP 建設区間に繋ぐとか、途中を拡幅するとか一緒に計画がないものかと思うが)に合流する道路を建設する計画があるようだ。これが完成して正式な r186 になれば、その先の分断区間は市道格下げの可能性もある。ただし、いつその新規道路建設が行われるかは定かではない。



2006年秋の姿は番外編で紹介します。

(注釈)

七曲峠のルートは地元の人が復活整備され、2007年5月に復旧したとのことです(奈良新聞ニュースより)


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